バーチャル往診随行:育成ガス編 |
朝の受付時間が終わる頃『子牛の腹にガスが脹って寝てばかりいる』と往診依頼が入りました。呼吸困難になり短時間で死亡してしまう事もあります。一番最初に向かう事にしましょう。

83日齢の育成乳牛です。横臥に近い姿で腹も膨れて苦しそうでしたが起立してくれました。左膁部が著しく膨隆(赤矢印)しています。

ガスで大きくなったルーメン(左側)に押し出され右腹も膨れています。小刻みに震え(振戦)、被毛起立。あまりゆっくりもしてられませんから早くガスを抜いてあげましょう。処置の仕方は以前の投稿(バーチャル往診随行:子牛に経口カテーテル編)をご覧ください。遊離ガス性鼓脹症だったので直ぐに抜けて牛は楽そうになり、処置に余裕ができました。いくつか確認していきましょう。急性の遊離ガス性鼓脹症の原因として直ぐに頭に浮かぶのは急速な濃厚飼料の多給です。5、6頭が同じ区間にいて食槽に配合飼料を配り皆同時に採食する給餌方法でした。今まで発生の無い農家さんなので多給という事も無いでしょうし、盗食もしていません。見渡すと、どの個体も同じくらいの体格で、発症した個体が強くて他の個体の飼料まで奪って食べている可能性は無さそうでしたし、そんな様子も見ていないとの事でした。ではどうして発症したのでしょう。何かこの個体に素因があるのかもしれません。今回だけで症状が落ち着けば急性鼓脹症、再発を繰り返すなら慢性鼓脹症です。鼓脹症になる育成牛の肺の音を聞くと、状態が悪い事が多いです。超音波で確認すると、両肺ともBラインが多数あり、コンソリデーション部位は1.5センチでした。肺炎の抗生物質、NSAIDs、ESE製剤を投与し治療を終えました。
どうしてもルーメンにばかり目が行きがちですが、肺の状態も必ず確認しています、というお話でした。これを機に『牛の臨床』の鼓脹症のページを読んでみてください。
農家さん、搾乳の忙しい時間帯にもかかわらず診療立ち会いへのご協力、ありがとうございました!














