2023年 08月 01日
バーチャル往診随行:外傷からの腐骨形成 |
診せられた牛が写真の牛になります。左後肢の飛節より下が右後肢と比べて腫れています。触ってみると固く、まるで骨が太く変化しているような感覚です。これを反対側(内側)から見てみると…
このように腫れた肢に穴が開いており、黄色い膿が出てきています。このように穴が開いて奥から膿が出てきている時は深部感染、つまり奥の方に感染があることを示しています。この‘奥’とはどこなのでしょうか。それを確かめるためにレントゲン写真を撮ってみましょう。

レントゲン写真を見てみると、肢が腫れていたのは中足骨全体に骨が増生していたためということがわかりました。その一部に穴が開いて白く浮いた骨を包み込んでいるようにも見えます。このように浮いた骨を腐骨と言い、その周囲が黒く抜けているのを骨棺と呼びます。



腐骨の原因は様々で、骨髄炎や外傷による感染、そして長期に骨が露出することなどが挙げられます。今回は稟告にあったスクレイパーによる傷が骨にまで達していたために感染が骨にまで及び、生じたケースだと思われます。つまり、今回の‘奥’は中足骨であることがわかりました。
よって今回の診断は「肢の痛みの原因は深部感染で、中足骨の一部が腐骨になっていたため」ということになります。
そこで、原因である腐骨を取り除く治療をしましょう。
手術によって腐骨を取り除きます。
まず手術には骨を削るための道具を使います。それがノミと骨剪刀です。これらの道具をうまく使って骨を取り出します。
傷口の周囲をきれいに毛刈りして洗ったら写真のような傷口が出てきました。傷口が赤い肉芽に覆われていますが、一部に穴が開いてるのがわかります。この穴の奥から膿が出てきているようです。
この穴は先に説明した通りに中足骨まで達しているようで、鉗子を奥まで入れるとコツコツとした感覚があります。どうやら診断は外れていなかったようです。
手術は増生した骨を割ったり切ったりして腐骨を取り出します。取り除いた増生した骨と腐骨です。
レントゲン写真で確認してみると、上手く腐骨を取り切れているようです。このあと包帯をして手術終了となります。







その後の経過です。1週間は足を上げて痛がっていました。傷口は穴が開いています。奥から膿が出てくることはなく、化膿は止まってきている様子です。

さらに1週間後の写真です。患肢に体重をかけ、段々と痛みも引いているようです。


by umibenokuma
| 2023-08-01 11:18
| 獣医さんのお仕事
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