バーチャル往診随行:子牛に点滴しよう編 |
子牛が下痢で衰弱した時など、スピードを考慮しながら多量に投与できるように、留置針を使用します。あまり深く考えないでも出来る人はいるでしょう。その出来るイメージを大切に邁進してください。しかし、衰弱が重度の時など、難儀する手技のひとつでもあります。困った時のヒントになるように、僕のやり方をご紹介します。
成牛のインジェクターは針先を頭側に向けて刺入していましたが、子牛の留置は針先を心臓に向けて刺入します。使う道具は違いますが、基本的な考え方はバーチャル往診随行:インジェクターで注射しよう編と同じです。『頸静脈の走行を把握し、針先がブレる事なく頸静脈の走行に合わせて針を刺入』『針の方向さえ間違っていなければ大概は突き抜けているので、ゆっくり引き抜いていくと(慣れて来るとプチっという血管壁を通る感覚と共に)血液が逆流してくるので、角度を少し寝かして針の根本まで刺入』『皮膚と血管の間に遊びがないように刺入するイメージで』行います。

僕は横臥位で針を刺入します。頸部を真っ直ぐに出来るからです。右利きの方であれば、牛の右側を下にすると刺入の際、針を持つ右手を頸部に置き支点にできるのでやり易いです。牛を診て点滴をすると決めたなら、その時点で右下横臥にしてしまいます。牛床に傾斜があれば、低い方に頭を向けます。衰弱が重度の子牛は不用意に動かすとそのまま死んでしまう事もありますから、ゆっくり優しく扱います。あらかじめ横臥位にして薬の準備をして戻ってくると、頸静脈が目視で確認し易くなっています。頸静脈が確認できない場合は腰の下に敷き藁を入れて頭が低くなるよう傾斜をつけます。最初からかなりの傾斜をつけて薬の準備をしていた時期があり、とてもやり易かったですが、胸腔圧迫によるショックなのか血圧下降して全く血管が分からなくなる個体がいたので、辞めました。

たっぷりとアルコールを染み込ませた綿花で頸静脈周囲をしっかり湿らせ毛並みを整えて頸静脈を目視で確認し易くします。親指で駆血しただけでは血管が見えづらい場合は、他の指で頸部の下側から支えます。見え易くなるでしょう。長さのある真っ直ぐな留置針を入れるにあたり、真っ直ぐな血管を作るイメージで支えます。

留置針の扱い方はhayapin524さんのInstagramがとても分かりやすいです。人と牛では違うこともありますが、留置針の外套と内套の扱い方、どのようにすれば上手に血管に入るのか、頭を整理するのに役立つと思います。

脱水が重度で皮膚があまりに硬く、長い留置針を刺入するのが困難な時があります。そんな時は細く短い留置針を頭側に向かって刺入します。長時間の点滴には適さないかもしれませんが、採血などで普段から使う針と同じ長さですし扱いに慣れており、刺入の難易度はかなり下がります。
点滴が必要な状態になる前の予防が大切である事はごもっともですが、適切な輸液に子牛達はてきめんに反応してくれますから、喜びを感じる事の多い技術です。写真は農家さんが撮ってくださいました。いつもご協力ありがとうございます!

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