バーチャル往診随行:乳頭内異物編 |

『乳頭内異物』との稟告で往診依頼がありました。乳頭槽に異物があり、それが乳頭口を塞いでしまうため搾乳が出来ず、異物除去を依頼されることがあります。写真は左から乳管拡張器、モスキート鉗子、アリゲーター鉗子、下の赤いのがAチューブを挿入する際に用いる拡張棒です。さぁ、往診に向かいましょう。
農場に着いて詳しく話を聞くと『前乳期から異物はあったがなんとか搾れていた。しかし、いよいよ大きくなってしまい、どんどん下がって来ちゃって塞いじゃった』とのこと。異物をモスキート鉗子で摘み出せるように、まず乳管拡張器で乳頭口を拡張させます。


先端を挿入、つまみを回転させ先端を広げた状態でしばらく保持、必要に応じて再度拡張・保持

つまみを逆回転させ細くしてから90度角度を変え同様に作業、45度変えて‥4方向くらい乳頭口を拡張させます。大概はこのタイミングで乳汁が漏れ出るのですが、今回は大きな異物が乳頭槽を完全に塞いでいるので全く乳汁が出ません…摘出出来るかな‥でも摘み間違い様のない程大きいので一気に摘出出来るだろうとも思っていました。

モスキート鉗子で摘むと直ぐに出血がありました。あれ、いつもと何か違う‥。

モスキート鉗子では摘出出来ないので、アリゲーター鉗子で細かく砕くことにしました。砕いては出して、砕いては出して‥。最終的に奥に芯が残ってしまいましたが血液混じりの乳汁が出る様になり、この状態で搾乳してみてくれることになりました。こんな状態だったのだと思います。

『有茎のものは少ない』との記述を見たことがあるのですが、そのレアケースだったのかもしれません。今回の農家さんは乳頭処置の際、牛を枠場に入れてくださいます。処置をする側の肢を挙げてロープ固定してしまえば牛に蹴られる心配が無く、安心して乳頭の処置に集中する事ができます。遊離の異物であれば鎮静剤を使用しなくても処置可能ですが、今回は牛に痛みがありました。途中から使用したものの、立位で処置する時の様に、処置前から鎮静処置をしてあげるべきだったと反省しています。数日後確認すると群に戻って問題無く搾乳できているとのことでした。
補足です。①乳頭の処置をするとその分房は乳房炎になるものだと思っていました。しかし他地区の処置動画を見る機会があり、その獣医師は全て滅菌した器具を使っていました。アルコール消毒程度で処置していたので、それからはきちんと器具を滅菌する様にしています。②何人かに、どう処置しているのか聞いてみました。乳頭口の拡張はAチューブの赤い棒を使っている獣医師もいました。拡張させずにモスキート鉗子を直ぐに挿入する獣医師も。『だって処置していると自然と広がって来ませんか?』と、確かにそうですね。皆んな口を揃えて『ある程度の大きさだったら乳汁で圧をかけるとブシャッと自然と排泄される』とも。導乳管などで綺麗に搾り切った状態ですと圧で排泄させることができません。乳頭槽に乳汁が無いと鉗子で摘むのも難しいです。そんな時は搾り切らない状態にしてもらって、再挑戦です。③処置が終わったら最後に必ず農家さんにも手搾りをしてもらい乳汁が出る事を確認してもらっています。処置時には全て無くなったと思っても、異物によっては次回の搾乳時に奥から新たに出てくる事もあります。『ちゃんと処置してもらえたのかしら』と、余計な心配をかけずに済むように、お互いの認識を一致させています。
処置の様子は農家さんが撮ってくれた動画をもとに作成しました。枠場にも入れてもらえて安心して処置ができました。いつも診療への立ち会いのご協力ありがとうございます!

この写真は中部のH獣医師が撮ってくれました。機械が好きで牧草収穫の様子をよく見ているのだそうです。写真提供ありがとうございます!
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