コツを教えて!第四胃変位・立位手術編 |
何年も前に、立位で手術をしている地域の留萌で働く獣医師に宗谷北部家畜診療所へ来ていただいて、実際に手術をしながら教えてもらった事があります。その時に私がポイントだと感じた事をお話しします。『まずセラクタールを1mL筋肉注射。個体によっては伏臥する可能性もあるので拮抗薬は手元に用意しておく。その後剃毛を開始。局所麻酔をする頃にはセラクタールが効いて鎮静されている。局所麻酔は塩プロを100mL使用。硬い皮膚に一度刺すと針の切れ味が落ちるので必ず都度新しい針を使用し、腹膜から皮下まで薬液を注入する様にラインで投与。切開部位だけでなく第四胃の固定の針を通す場所にも投与。第四胃の探索は幽門部付近をランドマークにする。幽門部付近と同じ触感の臓器は他に無いので目印になる』言葉で表現するのが難しいのですが、幽門部付近はずっしりとした触感です。第一胃、第三胃は胃内容が充満していますし第二胃は蜂の巣状の感触があります。腸管は薄く柔らかいです。なるほど、幽門部分は他のどの部分とも感触が異なるので、この話を聞いてから第四胃を探し易くなりました。助手等で機会があれば是非感触の確認をしてください。
前回のブログで紹介した個体の手術では、この幽門部を全く発見できませんでした。左の第四胃変位でピングも明瞭でしたからルーメンと肋の間にあるガスを含有した第四胃を触知できる予定でしたが、できず。おそらく頭側に変位していると推察したものの、手繰り寄せる術が分かりませんでした。どうしたら良かったのでしょうか?N獣医師に聞いてみました。

『通常切開部から手を下に入れると幽門部付近がある。無い場合は星印で示した辺りの大網を掴んでひっぱる。大網と第四胃は繋がっているので引っ張っていると必ず第四胃は現れる。左方変位でガス含有第四胃が前の方にあって触れない時は、ルーメンを上から動かすと第四胃がずれてガスを抜ける様になる事もある。』との事です。そして『第四胃は必ずありますから大丈夫ですよ』との力強いメッセージももらいました。(示した図は牛の断面を尾側から見たもの)
第四胃変位整復術については、臨床獣医という雑誌の2020年11月から3号に渡り分かり易い解説が載っています。図がたくさんあり、イメージし易いと思います。大学の図書館や研究室にありますでしょうか?是非読んでみてください。
当日助けに来てくれたH獣医師、教えてくれたN獣医師、ありがとうございました!

